小学生船舶・富士見活動
6月15日(土)
待ちに待った小学生船舶。
今年度は5年ぶりに1泊2日で活動を行えることになり、みんなでワクワクしながらこの日を迎えました。
1日目は、諏訪湖で船舶活動を行いました。
小学生はカヌーとクルーザーに乗り、船の事や水辺での活動の仕方を学びます。事前のミーティングでは、諏訪湖のことや船の歴史、船を動かすために必要な用語などを学習しました。また、船舶活動では船を係留したり、艤装をするためのロープワークも欠かせません。この日のために、みんなで何度も練習しました。
「みて!キングオブノットできるようになった!」「ロープ全部覚えたよ!」
行きのバスの中でも、真剣にロープを練習する姿が。
おかげであっという間に諏訪湖に到着しました。
まずは一緒に活動してくれる、育てる会本部のスタッフに挨拶。水辺でも安全に活動するために、約束事を確認しました。
「先頭多くして、船山へも登る」という言葉があります。一人ひとりが勝手な行動をしていると、船は路頭に迷ってとんでもない方向へ行ってしまうという例えです。決めた方角へ船を動かすためには、協力が必要不可欠です。協調性や集団行動の大切さを学んでもらうことも、船舶活動の目的の一つです。
この日のために、集団行動の練習もミーティングで行いました。
ライフジャケットを正しく装着して、準備万端です。
2班に分かれて、クルーザーとカヌーを交代しながら体験しました。
カヌーはまず、パドルの持ち方や操作の確認から。
「水って重たいね!」「なんか難しいなあ」
新入園生は継続生にコツを教えてもらい、練習をしたらいざ出航!
この日は風が強かったので沖には出ず、ハーバー内のみで練習。
「うわあ揺れる!」「どんどん流されるよー...右をがんばって漕ぐぞ!」
波で船体が揺れることに最初は慣れない様子でしたが、次第に落ち着いて操作を行えるようになりました。
継続生はカヤックにも挑戦!
「カヌーよりカヤックの方が、慣れればラクかも!」とハーバー内を自由自在に漕ぎまわっていました。
さて、こちらはクルーザーでの様子。
「あれは、ブーム」「あそこは...ティラー」
「こっち側はポートだよね」「前側はバウだよ」
乗船前に各部品の名称や、方向の表し方を確認しました。ミーティングで勉強したあとも復習をしていた子が多く、すんなりと用語が出てきました。
沖に出たらセール(帆)を上げ、ここからは子どもたちが舵をとります。
カヌーやカヤックは自分がパドルを動かさないと進みませんが、クルーザーはエンジンを止めても風の力を使って動かすことができます。風見を見ながら風の動きを読み、タイミングを合わせてセールの位置を変えることで進路を変える「タッグ」に挑戦しました。
「タッグ準備!」「ブームくるから気を付けてねー!」
「船が傾いてるよー、スターボ側に寄ろう」
次々と専門用語が飛び交うなかで、協力して声を掛け合い、全員が舵取りを体験できました。
片付けを終えたあとは「ライフジャケットは本当に浮くのか?!」を検証。
「ほんとに浮いたー!」「水の中あったかくて最高!」
1日を通して、全身で諏訪湖の自然を楽しめたようです。
お世話になった諏訪湖へ「ありがとう」を伝え、ハーバーを後にしました。
この日は育てる会が所有する、富士見の「すずらん山荘」に宿泊。
夕食はBBQを行い、楽しく美味しい時間を過ごしました。
八ヶ岳や南アルプスの山々など、普段過ごしている八坂とはまた違った風景が広がる富士見。
子どもたちはあちこち探検して「いいところだね!」「ここだいすき!」と富士見の自然も満喫できたようでした。
夜は1日の振り返りと、次の日の予定を確認。
学園長から「諏訪大社」と御柱の話や、岡谷の蚕糸産業についての話を聞き、「明日も楽しみだね」と話しながら眠りにつきました。
16日(日)
2日目の朝は雨が降っていましたが、子供たちが起床する頃には止んで、八ヶ岳も顔を見せてくれました。
いつものようにラジオ体操をして、南アルプスに向かってやまびこ挨拶を行い、すずらん山荘や周辺の環境について学園長から話をしてもらいました。
朝食後はみんなで掃除。隅々までピカピカにします。
「まだここにいたいよー」と名残惜しさをにじませながら、すずらん山荘を後にしました。
この日の最初の予定は"6代目のテル"に会いに行くことです。
センターで新たに飼う柴犬の候補が見つかったので、子供たちと初めて対面することになりました。
「かわいいー!」「はやくセンターにきてほしい!」
犬もすぐに子どもたちを受け入れてくれて、なでたり、散歩したりと和やかな雰囲気でした。
"6代目のテル"はもうじきセンターへやってきてくれる予定です。
これからよろしくね!
次に訪れたのは「おんばしら会館よいさ」。
外でお弁当を食べたあと、学芸員さんに館内案内をしていただきました。
前日に船舶活動をした諏訪湖の周りには、日本最古の神社の一つとされる「諏訪大社」があります。全国に約一万ある諏訪神社の総本山で、7年に一度行われる「御柱祭」は日本三大奇祭として有名です。
御柱祭の実際の映像をみたあと、木落とし体験をさせていただきました。
御柱を模した装置に乗ると、目の前の映像と連動して動きます。
学芸員の方が「よいさ!」と盛り上げてくださり、木落としの臨場感や雰囲気を味わうことができました。
実際の御柱と同じ大きさの模型にも乗せていただきました。
「けっこう高い」「これで坂を下るのはこわい...」
会館外にある御柱のモニュメントに乗って記念撮影をしたあと、すぐ近くにある「諏訪大社春宮」に参拝しました。
田植えの春祭りで練習した甲斐あり、みんな正しい作法で二拝二拍手一拝。
「家族みんなの健康をお祈りした」「がんばってます、って報告した」と、それぞれの思いを神様に伝えられたようです。
次は諏訪市の隣にある、岡谷市の「岡谷蚕糸博物館」を訪れました。
岡谷市は日本の製糸業を支えた地として有名です。群馬県の富岡製糸場から持ち帰った技術をもとに、新たな機械技術を開発し、街全体で製糸業が営まれていたそうです。
大多数の子が初めて蚕に触れたようですが、「なんか可愛い」「ぷにぷにしてる」と親しみを持った様子。
蚕の生態を学び、製糸の過程で蛹が死んでしまうことを知ると「かわいそう...」「でも、そのおかげで良い糸ができるんだね」と、蚕が家畜として大切にされてきた理由を実感したようでした。
館内を見学したあとは、糸取り体験をさせていただきました。
繭からとった細い糸を指で手繰る作業なので集中力が必要ですが、全員が無事に成功!「工女さんになれるかな?」と得意げな表情を浮かべていました。
最後に学芸員さんから「お蚕さん、飼ってみたい人ー?」と聞かれると半分以上も手が挙がり、興味を引かれた子が多かったようでした。
この2日目を通して、諏訪・富士見・岡谷の様々な文化や自然に触れた子供たち...帰り道で温泉に寄ったあとは、バスの中であちこちから寝息が聞こえていました。
たくさんの興味、関心を刺激した2日間でした。