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指導者だより

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田んぼ

山村留学指導員 寺崎成希

 今年も無事、田の活動を終えることができた。毎年同じ作業の繰り返しだが、その年の気候によって生育状況が左右されるため、常に気を張りながら田んぼに足を運んだ。そんな中で、今年の田の活動は、昨年までとは違うことが一つあった。それは育苗である。八坂のセンターでは、植える苗は地域の方からいただいていたが、今年は育苗から取り組んでみた。

 私は実家が米農家で子どもの頃から田の一通りの作業も経験していて、育苗も経験している。
 育てた稲を収穫、脱穀した籾(もみ)を保存し、また次の年に芽出しをして新たな苗を作り、米を育てる。そんなサイクルを循環させていくことが本当の田んぼの作業だと考え、子どもたちにもぜひ体験をしてもらいたいと感じていた。
 今は機械や便利なものが多いため、育苗などやりやすくなっているが、センターには育苗に適した場所や道具がそろっていないため、簡単ではなかった。消毒・浸種(しんしゅ)・催芽(さいが)・播種(はしゅ)の順番で作業していくが、ヒーターなどないため、水の温度管理が難しく、鍋を火にかけて一定の温度を保つように火力調整する必要があった。これは神経をすり減らした。
 なんとか播種まで終えたが、苗箱の置き場にも困り、比較的暖かい洗濯干場に苗箱を並べた。室温が下がりやすく夜間はストーブを点けるなどで対処し、田の作業が田起こし、代掻(しろか)きと進んでいくと立派な苗になり、田植えでその苗を植えることができた。
 ヒーターなど便利な道具がない時代は、その作業を当たり前に行っていたのかと思うと昔の人たちには頭の下がる思いがする。
 今後も様々な活動において本物の体験が子どもたちに届けられるように精進していこうと思う。

写真:子どもと一緒に籾の消毒
写真:子どもと一緒に籾の消毒















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