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みんなのアイドル
山村留学売木学園
山村留学指導員 西村萌
今年の一学期、売木学園に新たな仲間が加わり、学園生たちにとってアイドル的な存在になっています。きっかけは昨年度の修園生の保護者から寄贈していただいた孵卵器(ふらんき)です。学園で飼育しているチャボや学園生が学校から持ち帰ってきたヒメウズラの卵を孵卵器に入れていたところ、四羽の雛(ひな)が孵(かえ)りました。一つ一つの卵には、親鳥が生んだと思われる日付を書き込んでおき、孵化する予定日が近づいてくると「そろそろかなぁ」と卵の殻が割れる時を心待ちにする雰囲気が学園内に漂っていました。
そして、ついに卵の殻を破って誕生した小さな命と初めて対面した際、知らせを聞きつけた学園生たちが一斉に集まり、その可愛らしさに目を輝かす反応がありました。雛に名前を付けて話しかけていたり、「最近の一番の癒し」と言いながら様子を見に来ていたりと、学園生それぞれで雛を愛でるような日々が始まり、全身が黄色かったひよこの羽が白や茶色になってきたことやヒメウズラの爪が伸びてきたこと等の変化に気が付いて感動している子もいました。また、雛が成長して大きくなると、「今日のおやつだぞ?」「美味しいか?」と雛のために虫を捕まえてきて与えている学園生の姿があったり、ケージから出した雛を囲みながら談笑している学園生たちがいたりと、雛の存在を通じて、学園生の自発的な行動や学園生同士の交流が生まれています。そんな微笑ましい場面を見かけることが、わたしの楽しみにもなっており、人を和やかにしてくれる生き物の力を感じる出来事になっています。
写真:窓辺を歩くヒメウズラ