「いってらっしゃい」
2024年09月
八坂美麻学園
八坂美麻学園
山村留学指導員 沼澤佳明奈
つい先日、修園生がセンターに帰ってきた。中3で修園した彼女は今年から高校生。服装や髪型はおしゃれになり、スマホを手にする姿はまさに都会っ子だった。そんな見た目とは裏腹に、山留生の作法はしっかりと染みついている。
「いってきました?。」と、言って玄関を抜けると、勝手知ったる足取りで3階に上がり、学園生とお互いの近況報告で盛り上がっていた。夕食後は学園生に混ざって、掃除、布団敷き、演目練習。「当時はもっと体力があったのに、今はきつい!」と、笑う彼女の演目は相変わらず「さすが。」と感じるものがあった。
翌朝は起床時間よりも早く起きて身支度を済ませ、厨房に挨拶をして、朝食の準備に取りかかる。朝食は誰よりも先に食べ終わって片付け。あまりに自然で、当時と変わらない彼女の動きに思わず笑ってしまった。
彼女は来月から海外の高校に進学する。たくさん悩んで、いろんな人に相談して、家族を説得して、ようやく手にした切符。当時中学3年生だった彼女が自分で決めた選択だった。言葉も文化も異なる環境で、親元を離れる決心はどれほどのものか、計り知れない。
最後には全員で「いってらっしゃい」と、応援の気持ちを込めて送り出した。次に「いってきました」とセンターに帰ってきたとき、向こうでの出来事を意気揚々と語る彼女の姿に想いを馳(は)せる。
写真:演目練習の様子