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『親子山菜採り』
大岡ひじり学園
山村留学指導員 横山みのり
ゴールデンウィークの中頃、子どもたちは保護者やボランティアの方々と一緒に山菜採りを行った。私が担当した「おさんぽ班」の参加者は低学年の学園生が多く、みな初めての山菜採りに瞳を輝かせ、袋を片手に足取り軽く出発した。
行き先はセンター裏にあるきのこの原木置き場、小高い丘にあるウドの群生地、小学生畑の周りと、通学路。道中では、子どもたちが道ばたに茂る草木の名前や、風に乗って聞こえてくる鳥の声を家族に教えたり、藤の花が咲く場所、キジが歩く小道などを紹介していて、気付けばその子の家族だけでなく、他の参加者たちもその子の言葉に興味深げに耳を傾けていた。
収穫の際には、子どもたちは採れたばかりのアサツキを手に、「これは○○にするとおいしいよ。」と、その香りや味について説明しており、その表情は真剣でありながらも、少し誇らしげで、探し方のコツを伝えながら、親子共に協力して山菜を集めていった。
こうしてセンターへ持ち帰った山菜は全部で7種類。これらは全てお父さん方の手によって天ぷらへと姿を変えた。慣れない料理に苦戦しながらも、和気藹々(わきあいあい)と揚げ物をする父親の背に、子どもたちは「お父さん!おいしいよ!」と声をかけ、大岡の地に感謝しながら、みんなで春の味覚を堪能した。
子どもたちは今回の山菜採りを通して、これまでに自分たちが学び得たことを家族に伝えると共に、お互いの知らない新たな一面に出会う親子の時間を過ごすことができた。それと同時に、保護者の方々も一か月離れて過ごした子どもたちの成長と、濃い自然体験を感じてもらえたと思う。
このように親子で同じ体験を共有し、同じ目線で会話をした経験は、子どもたちの心に残り続けるのではないだろうか。
写真:ウドの収穫