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体験から得るもの
山村留学売木学園
山村留学指導員 西村萌
初めまして。今年度から売木学園で子どもたちと活動を共にし、季節ごとに出会う村内の植物や生き物の姿にときめきながら、農作業や食文化体験などを通して自然の力や昔ながらの知恵を学んでいます。
春・夏・秋と季節は巡り、冬が深まってきた三学期を迎え、スキーやスケートの活動が始まりました。初めて体験する新入園生や去年の活動以来という継続生がおり、私自身はスキーとスケートどちらとも十年以上ぶりとなる機会でした。初心者班に混ざり、基本動作を再確認していく中で、足が震えたり肩に力が入ったりと、ぎこちない動きになりつつも、滑った際に足元から伝わってくる感触と昔体験したことがある感覚とが重なった瞬間がありました。また、雪や氷の上を滑っている時の「スー」と聞こえる音や次第に温まる体と頬に当たるひんやりとした風にもどこか懐かしさを感じました。「久々で滑れるか不安だったけれど体が覚えていた」という子がいたり、転ぶことが減ってきた初心者の子は「滑れるようになると気持ちがいい」と感じたりと、学園生は自分の体を通じてそれぞれに得ている感覚があったようです。子どもたちも私も活動開始時は滑ったり転んだりすることに?不安?という意識がありましたが、体が覚えていた記憶やコツを掴【ルビ:つか】んできたという体感を味方にし、「教わった技を上手くできるようになりたい」「次回の活動も楽しみ」といった声が聞かれます。練習を繰り返していく活動を通し、体験は、理解を深めたり興味がわいたりするきっかけとなり、思考や感情の変化も生み出すということを子どもたちの姿や自分の身をもって実感しました。今後は、体得し始めたことを指導員として言葉で伝えたり、子どもの様子を見る際の視点に反映したりしていけるよう、活動に取り組んでいきたいです。
写真:茶臼山高原スキー場