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「ルン♪」ある暮らし

山村留学指導員 松浦実穂

 利賀村では今、移住者の方のひとりが新作ボードゲームの製作に取り組んでいる。利賀すごろく、略して「とがすご」だ。
 先日、この「とがすご」のテストプレイに参加した。集まった皆でテーブルを囲み、広げられたのは人生ゲームのようなつくりのボードゲーム。皆でゲームを囲めば、大人とてわくわくする。

 自分の駒をサイコロの数だけ進めていくのだが、このゲームでは、お金が多い人ではなく「ルン♪」をたくさん集めた人が勝者になる。縁側からの景色に四季の移り変わりを感じて「ルン♪」。地域への貢献を少しずつ認められ、嬉しくて「ルン♪」。時にはうっかり他人の山に入ってしまい、叱られて「ルン♪」が減るなどの出来事も...。製作者の、利賀での体験や見聞がもりもりに詰め込まれていて、つい「そうだよなあ」と共感したり、それって〇〇さんの出来事かなあと盛り上がったり。
 私の利賀での「ルン♪」も考えてみる。雪の金剛堂山が楽しくて「ルン♪」。春祭りの鮮やかさが沁(し)みて「ルン♪」。何より子どもたちが躍動する姿をみて「ルンルンルン♪」。失敗や失礼をしてしまったときは「ルン♪」がぐーんと減ってしまう感じ...。日々、良い事も悪い事も、確かにお金じゃない何かでしか測れない。
 「ルン♪」が増えたり減ったり...一人一人違う道のりを歩んでいても、利賀で暮らすどこかで、皆同じような「ルン♪」を体感しているのかもしれない。だから「とがすご」は、さまざまな利賀暮らしを他の人と一緒に追体験しながら、利賀へのまなざしを少し共有し合えるような独特の楽しさがあるのだと思う。
 「とがすご」が完成したら。留学センターでもプレイしながら、子どもたちの日々にある「ルン♪」の感覚を窺(うかが)い知るきっかけにしたいなあと思う今日この頃。

センター裏の雪景色にルン♪
写真:センター裏の雪景色にルン♪















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