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「私が山村留学中!」
くらぶち英語村
山村留学指導員 今野真由
くらぶち英語村の立ち上げとともにここ倉渕に移住してきて、丸6年になろうとしている。生まれて初めて東京から出て住んだ町がこの山村地域、倉渕である。生まれも育ちも東京の私にとって、始めはまさに、山村留学だった。
6年前、夫(くらぶち英語村指導員)が突然「くらぶち英語村という施設が高崎の倉渕町にできるから、そこで働きたいと思う」と言い出し、移住してきた。今でこそ夫の突然の舵(かじ)切りには慣れたが、突然田舎暮らしをすることになるとは露ほど思っていなかったために、始めは大喧嘩。何とか気持ちを盛り上げようと「私はトトロの村に住むんだ」と言い聞かせた。食材を買うためのスーパーさえも家から車で30分かかる現実。移住してすぐ長男の妊娠が発覚したこともあり、やっとの思いで着いたスーパーの駐車場で大泣きしたときの景色や感情は今でも忘れない。カフェがない、本屋がない...挙げたらきりがないほど、これまで私の日常に当たり前にあった好きなものたちがなくなり、「ない、ない、ない」と3年は言い続けていた。でも6年経った今「ない」という言葉を言わなくなった。今ではこの「ない」という景色が私の日常になり、逆に倉渕にしかない美しい水や空気、美味しいお米、玄関先に置かれた野菜のお裾分け、気軽に子どもを預け合え、優しい声掛けをしてくれるママ友、移り変わる山の景色が私の心の安らぎになっている。大人の私は慣れるのにたくさんの時間を要したが、毎年やってくる留学生たちは、慣れない場所にもかかわらず、ここ倉渕の自然や人から、たくさんのことを瞬時に吸収し、逞(たくま)しく生活している姿に、心から感心している。大人の私の心をも強くしてくれた山村留学、子どもにとって、どれほどの収穫があるのか計り知れないなと感じる。
写真:家族で川遊び