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『食育の伝え方』
大岡ひじり学園
山村留学指導員 横山みのり
私は今年の四月から食事の時間に、「食育」の話をするようにしている。「食育」と言っても、話す内容は「郷土料理」や「食材」、「献立料理の話」が主である。最初に私が気を付けたのは、話す内容を詰め込まず、子どもたちの興味を誘うような話し方をすることだった。しかし、相手はお腹を空かせた食事中の小中学生たちだ。そんな彼らの前で食事の説明をしても、こちらの話を聞いてくれる子はとても少なかった。
それならばと、声を張って話し続けるのではなく、「これってなんていうか知ってる?」などと、彼らに問いかけをするようにしてみると、彼らはあてずっぽうだったり、ふざけたりしながらも、興味を持って、反応を返してくれるようになったのだ。特に食材クイズや料理の歴史に関する話をすると、とても盛り上がるのだ。
しかし、中には全く興味を持たず、黙々と食事を続ける子どもたちもいた。そんな彼らにも話を聞いてもらうにはどうしたらいいのか、私は実際に食材を見せたり、その子たちのエピソードを交えた説明をするなどの工夫を行った。
するとある時から、「この前に言ってた○○ってどういうこと?」と、ずいぶんと前に話した内容について、彼らが詳しく尋ねてくるようになったのだ。私は彼らが私の話を聞いていた事に驚くと同時に、彼らも「食育」の話に興味を持ってくれたことに、感慨深いものを感じたのである。
一見こちらからは言葉が届いていないように見えても、根気よく向き合えば、子どもたちは私たちの言葉にしっかり耳を傾けてくれる。私はそんな彼らに誠実に向き合い、「食育」を通して、子どもたちが健康で豊かな人生を送れるよう、これからも「もっと知りたい」と思えるような伝え方を模索していきたいと思う。
写真:畑の草取りをする子どもたち