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「歩く中で」

山村留学指導員 邑上貴厚

 私が徒歩通勤を開始してから約半年が経った。4月の雪残る風景から、緑が萌(も)え、紅葉、そして落葉の風景へと、山々は刻一刻と季節の移ろいを感じさせてくれる。
 歩き始めて2か月程経った頃、当初はガソリン代の節約になって良いと思っていたものの、思いの外靴の消耗が激しいということが分かってきた。大体1か月で1足といったところだ。

 そんな中、ある晩私に声を掛けてきた中学生がいた。
「僕も、学校の通学を徒歩にしたい。」
下校時のみ、天候に関わらず歩くという条件で仲間を募ると、男女5人が仲間に加わった。
2学期に入ると、小学生2人も「僕たちも歩きたい!」と声が挙がり、今では留学生の半数以上が約4.5kmの通学路を歩くことになった。
道が狭く、大型車が多数通行するため、子どもたちだけでの通学ができず、指導員が一名付き添っての下校となる。
通学路を歩き始めた子どもたちと行動を共にしていると、日々色々な声が挙がることに気が付いた。
「この道はどこに繋がっているの?」
「〇〇さんの家の湧き水、冷たくてすごくおいしい!」
「この辺り、なんだかいい匂いがする。」
 毎朝のつどいで紹介した草花を見つけ出したり、普段は何気なく見ていた工事現場の進捗状況に目が行ってみたりと、五感を使って情報を感じ取っていることが分かる。如何に自然豊かな環境であったとしても、歩かなければわからない、気付かないことが溢(あふ)れていることの証左であると私は思う。
 これから雪に閉ざされる冬となるが、そこで子どもたちが何を気付き、発見するのだろうか。安全に留意しながら、楽しみにしたいところだ。 帰省日 小中一緒にセンターに向けて歩く

写真:帰省日 小中一緒にセンターに向けて歩く















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