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「サルとカラスとマムシの親子
三瓶こだま学園
山村留学指導員 児玉彩
私は学園の畑作業の指導を担当しているのですが、今現在北三瓶ではサルの畑被害が急増しています。夏の短期活動中には、スイカをはじめとした野菜類を食い荒らされてしまいました。今は畑を電柵で囲っている他、鳥よけとしてナイロン糸を張り巡らせたりと、鳥獣被害対策を施しています。サルに関しては人を襲うこともありますので、2学期から北三瓶小中学校の登下校は、先生の同伴や保護者の送迎で、安全に帰宅できるようにと厳重な体制がとられています。サルの影響で、すっかり登下校もおおごとです。
そんなサル騒動を通じて考えさせられたことは、「ニンゲンは今でこそ安定して食料を得られる環境を作り上げたが、野生動物たちは常に、食べること生きることに必死である」ということ。先日は畑の鳥よけにカラスがかかり、畑に倒れていました。畑近くにはマムシも出ました。安全性を考慮し、学園勤務の市の職員の方が仕留めてくださいました。翌朝その現場を見に行くと、鳥類が捕食したのでしょう、マムシの亡骸はなく、代わりに小さな肉片が落ちていました。よく見るとそれは小さなマムシの赤ちゃんで、あのマムシは身籠ったメスであったことが分かりました。
学園の食卓には畑で採れた野菜やスイカが並びます。黙祷(もくとう)の際、サルやカラス、マムシの親子の姿が脳裏をよぎります。食後のスイカを食べていた時、隣にいた学園生が皮ギリギリまでスイカを食べていました。それを見て何だか少しだけ誇らしい気持ちになったのは、きっと彼ら野生動物の生きる姿を見たからだろうと思います。北三瓶での暮らしは、ニンゲンとしての在り方、自然との向き合い方を考えさせられます。
写真:野生動物に食べられた畑のスイカ