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『山に登ること』
大岡ひじり学園
山村留学指導員 勝目陽菜
8月の終わり、私は学園行事の実踏で、初めて北アルプスの唐松岳の登山をした。学園から望む、北アルプスは、これまで宮崎や沖縄でしか生活したことのない私にとって、2000mを超える山々が聳(そび)え立つ景色は壮大で、4月に初めてその景色を一望した際、圧巻されたのを今でも覚えている。
登山当日、装備を何度も確認し、初めての2000mを超える山に登ることに少しばかりの不安と大きな高揚感を抱えて、登山道に足を踏み入れた。
最初は岩場ばかりでこれが山頂まで続くのか...。と少し弱気な自分がいたが、どんどん上に登るにつれて、植生が変化していき、図鑑でしか見たことのない高山植物を観察したり、壮大な景色を楽しみながら登っていくとあっという間に山頂が目の前にあった。
また、蛇紋岩や花崗岩(かこうがん)等の岩石も、登れば登る程様々な表情を見せてくれて次はどんな岩石が顔を出してくれるのだろうかと終治興奮していた。
しかし、やはりきついものはきつい。山に挑戦状をたたきつけられているような気持になることもあった。その中で、自己に打ち克ち、山に打ち克ち登頂した時の達成感は一生忘れないだろう。
頂上からの景色は言葉に表わせないほど美しく、力強く、危険と隣り合わせの中、人が山を目指す理由が自分なりに理解できた気がした。気付けば、下山途中には、次はどの山に登ろうかと考える程山に魅了されていた。
来月の頭には学園生たちと一緒に北アルプスに挑む。学園生はこの大自然の中で何を感じるのだろうか。そして、学園生と登山をすることで自分は何を得られるのだろうか。学園生たちと一緒に山に登って、この感動を分かち合うことが出来ることは私にとって一生の宝物になるだろう。
学園生にも何か一つでも心に残るような登山になることを願う。
写真:唐松岳から望む雲海