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学園登山(蝶ヶ岳)
八坂美麻学園
山村留学指導員 大山楽人
九月九日、十日。学園登山で蝶ヶ岳へ。学園としては実に五年ぶりの北アルプス登山となった。
入職一年目、学園活動の北アルプス登山で、山脈の美しさや山の雄大さを肌で感じたのが脳裏に焼き付いている。私が山登りに魅了された機会だった。それから私は、山登りが趣味になり、プライベートで北アルプスの山々を登るようになっていたが、学園登山としては、天気やコロナの影響で一年目が最初で最後だった。
登山活動の担当となった今年。学園全員で協力して登ることや辛い登山道も自分の足で登り、自分の弱さに打ち克つことを目的に。そして何より、山頂から見た景色を何とか子ども達に見せたい一心で準備を進めた。
当日は、雲に覆われた天気の中、回復を見込んでの出発となった。道中は、曇天の中でもテンションをあげて励ましあいながら登る子ども達。流石は山留生、コースタイムを上回るペースで登っていた。
山頂に着いた時は雲に囲まれ、景色は見えなかったが、夜には、満点の星空が広がり、翌朝も晴天。朝は、まだ薄暗いうちから外で、徐々に明るくなる空を見ながら太陽が顔を出すのを待った。そして、雲海の奥から太陽が出たときには、子ども達から「おー」と歓声が上がった。
雲海、日の出、穂高岳や槍ヶ岳を始めとする連峰の壮大さ、山肌の険しさ等、北アルプスの上に立たないと味わうことのできない景色を学園生と味わうことができ、私の心にも達成感が満ちた。
この景色を見せたかったのだ。
「今まで見た景色の中で一番きれいだった」とある子は言っていた。子ども達の中にもいつか振り返った時に、全員で登り切った達成感。目と肌で感じた山の美しさを思い出す活動となったことだろう。
写真:朝日に照らされる穂高連峰