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活動作文に苦しむ子どもたち

山村留学指導員 戸田佐和子

 一学期も終わりに近づき、山村留学生活にも慣れてきた学園生たちの生活は、夏休みまでの消化試合の様相を呈しているようだ。しかし、週末に行う体験活動の作文を書くことにはなかなか慣れず、苦しめられていると感じるらしい。

 文章を書くことは面倒臭く、作文という言葉を聞くだけでうんざりし、その大変さを学校や農家さん宅で盛大にぼやくなど、抵抗感を示す子も少なくない。書くことに苦手意識を持つ私もそれには共感する。しかし、だ。学園生たちが唸(うな)りながら書き、提出してきた作文を熟読すると、出来事の羅列になってしまっている。体験活動を通して、何を思ったり考えたり、分かったり知ったり感じたりしたのかを書くよう口を酸っぱくして言っているのに...。誰でも書ける内容なら、当然突き返すことになる。中には「ちゃんと感想も書いたよ!」と口答えを試みる子もいるが、気持ちや感想を表す言葉を知らないため、『嬉しかった』・『楽しかった』・『良かった』程度の語彙しか使っていないことも往々にしてある。出来事と良かったですのオンパレードの、名づけて『しました作文』・『良かったです作文』を書いた子には、書き直しを命じるので、さらに辟易(へきえき)するのだ。
 自然体験活動は、主体験と周辺体験に分けて内容を記述し、共通の目的を設定した指導案に基づいて展開し、指導に当たる。しかし、同じ自然体験をさせても、子どもによっては周辺体験が主体験となる場合もあるなど、その受け取り方は皆違う。感想や気持ちを綴(つづ)った作文からは、その子がどういう受け止めをしたのかが分かり、その気づきを私は次の活動や指導に活かせるのだ。時に、その子らしさが滲(にじ)み出た、示唆に富んだことを書いた作文に出会えると嬉しい。

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写真:鳶が鯉を捕まえる瞬間を目撃!(諏訪湖にて)















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