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「大人の個人体験パート2」

山村留学指導員 邑上貴厚

 今年度、私は自身の個人体験テーマとして、「徒歩での通勤」をテーマに据えた。ことの発端は3月末、第3期「入園のつどい」で子どもたちが読み上げる「山村留学生の心構え」のプリントに目が留まったことにある。
 南砺利賀みらい留学における、「心構えの中に「山村留学中は、いつでも自分の足で歩き」という一節がある。この部分に、何かしらの引っ掛かりを感じた。

「私は、これを子どもたちに堂々と指導できるのだろうか。」改めて自問自答してみる。車で通勤をしている私の出した答えはノーだった。

 利賀みらい留学での通学路はあまり長くはない。せいぜい1km程度だ。そのためか、時々長い距離を歩かせようとすると、子どもたちからは「えぇ?...」という声が度々上がる。

 そんな雰囲気を打破するためには、自分自身から変える必要があると、私は考えた。

 実際に入園準備の日から徒歩通勤を開始した。最初は片道4.5km程度の比較的きれいな道を利用したが、それでも利賀の谷の急峻さが身に染みて分かった。

 4月の半ばからは山の上部の雪が解けたので、今は片道8.5kmの林道を歩いて通勤している。最初こそ「自分が決めたことはいえキツイな。」と思ったが、慣れればなんてことはなくなった。それどころか、林道を歩いていると木々や草花の変化が感じられてとても清々しい気持ちになった。そのおかげか、今まで以上に心身ともに健康に過ごせるようになっている気がする。

 これから1年間を通して、歩くという山村留学の基本理念の体現と、その意義について、考え続けながら歩いていきたいと思う。

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写真:朝靄(もや)が立ち昇る通勤路の風景















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