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「味噌作りに寄せて」

山村留学指導員 横山みのり

 新年度が始まり、子どもも指導員も慌ただしく過ごしていく中、今年も味噌作りが始まった。長きにわたり大切にされてきた、伝統行事の一つに携わることが出来るというのは、中々に感慨深い。しかし、同時に味噌作りの経験がない自分が子ども達へ指導する事への不安も押し寄せてきた。実際に作るのは子ども達だが、私が担当する道具の準備と麴の管理、衛生面での配慮など、どんなに小さなことであっても、それら全てが今年の味噌の出来を左右する。彼らが一生懸命作った味噌を台無しにするような事はしたくなかった。

 とはいえ、経験が無いのは仕方がない。分からないなら分からないなりに経験者である子ども達から教わり、他の指導者の力を借りながら、一緒に進めていくしかないのだ。私は今の自分にできる準備をして、味噌作りに挑んだ。
 しかし、いざ始めてみると、ほぼ全ての工程を子ども達が率先して行い、勝手の分からぬ私にできることと言えば、消毒・掃除・道具の準備くらいで、統率の取れた彼らの働きを前に、私は側で見守ることしかできなかったのだ。
 結果として、今年の味噌作りも無事に終えることが出来た。全体的に反省点が多く、彼らの指示通りに動くことしかできなかった自分に不甲斐なさと、彼らへの申し訳なさを感じるが、その分、全体の流れを把握し、場面ごとに必要なものや、子ども達の動き方を知ることができたと思う。来年度からは、今回の反省を糧に、大岡の味噌作りをしっかり引き継いでいけるだろう。
 何はともあれ、今は子ども達と共に3年後の味噌の完成を待とう。その味噌の出来が、今回の私の動きの結果でもあるのだから。

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写真:味噌仕込みをする子ども達















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