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「短期の醍醐味」
三瓶こだま学園
山村留学指導員 浅平泰地
先日、三瓶こだま学園では数年ぶりとなる短期山村留学の活動が行われた。コロナ禍によって制限されてきたものがようやく、元のかたちに戻りつつある。
私は会に入職して5年目になるが、勤務するセンターでの短期活動はほとんど初めてといってもいい。以前、英語村で短期を担当したこともあるが、英語村は指導員も多く、会のその他の短期と少し異なるスタイルがあると思う。
そんなわけで、入職してからそれなりに年数を経たものの、なかなか短期の経験に恵まれなかった私にとって、それは半ば謎に包まれた存在になってきていた。さらには好ましくないことに、短期に対するイメージは長期の陰に隠れ、私の中で長期留学至上主義的な感性が醸成されていることにも時折気づかされることがあった。
ところが今回、いざ三瓶での冬短期を体験してみて、正直驚かされたのである。それは、短期には単に長期と、期間の長さや体験の数だけで比べることのできない魅力があることに気づかされたからだ。長期の1年という期間に対して、5日間というのはとるに足らないようにも思えるが、この限られた時間で子どもたちは関係性を作り上げ、絆(きずな)が生まれる。体験にも体当たりで取り組む。そして最終日には別れを惜しみつつ、三瓶での再会を期待しながらセンターを後にする。文字通り短期間であっても、充実した連帯感や達成感が生まれるのだ。
またもう一つ印象的だったのが、外部リーダーやスタッフの存在だ。今回参加したボランティアの半数は、かつての短期経験者だった。長期だけに携わる内は名前を知ることもなかった彼らも、短期という枠組みの中で長きにわたり山村留学の一端を支えてくれていたのだ、失礼ながらそんなことに改めて気づかされた。
今回味わった短期の醍醐味(だいごみ)を忘れず、これからの子どもたちとも追い求めていきたいと思う。