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雪の中での自然観察
八坂美麻学園
山村留学指導員 寺崎成希
雪が降り積もった冬の時期は、冬山用の登山靴にアイゼンを装着して山の中を歩くのが楽しみの一つだ。急な斜面を直登したり、斜面を横切る様に歩いてみたりと山の中を縦横無尽に歩き回る。夏場は草木が生い茂り、なかなか自由に歩き回ることができないため、冬の山の中はいつもとは違った視点から自然を観察できるため面白い。その中での大きな楽しみは、動物の足跡の観察だ。冬は雪面に動物たちの足跡が残るため観察にはもってこいの環境となる。シカ、イノシシ、ウサギ、キツネ、ウサギなど様々な動物たちの足跡を見つけることが出来るし、動物たちの歩いたところと同じ道を辿(たど)ってみるのも、自分が動物になった感覚になり楽しく、時間を忘れてしまうほど。
ある日、山中を歩いていて驚いたことがあった。普段歩く時は自分でルートを考えて歩くが、斜面であるため足元が不安定で滑ることもあり、かなり神経を使って歩くことが多い。ある時、斜面を横切りながら歩いていると、自分が歩いている場所より1mほど登った上部に動物が斜面を横切る様に歩いた跡を見つけた。「動物たちもこんな斜面を歩くの大変だよな」なんて思いながら、動物の歩いた跡を辿ってみることに。そして、いざ歩いてみるとこれが何とも歩きやすい。さっきまで一歩一歩足元を確かめながら歩いていたのに、一気に安定感が増し歩きやすくなった。雪で覆われてしまえば、雪の下の地面は何があるかわからない中で、あんなにも歩きやすい場所を見つけ歩く動物たちの凄さを感じた。動物の本能的な感覚に関心するとともに、動物たちが生活していく上での本能的な知恵をもっと知りたいと興味の幅が広がった時間でもあった。何気なくやった事で自分の中で新しい発見となり、活動に取り入れることで子どもの興味関心を刺激できるものになるのではと思った時間だった。