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「ポテンシャル」

山村留学指導員 加賀美嶺

 十二月二十四日、五センチ程の積雪に見舞われながら、英語村通年コースの二学期が終わり、子どもたちは実家に帰省した。英語村で過ごすこの九か月が、子どもたちにとってどれだけ濃密で、充実したものだったのかということは、子どもたちの顔つきを見れば疑う余地はない。夏場までたびたびホームシックで泣いていた子、忙しい留学生活の中で勉強時間が確保できず、周りとの差に怯(おび)えていた子、人間関係に悩まされ、頭を抱えた子...その誰もが人間として成熟し、生きる力を身につけていることに、子どもたちの大きな大きなポテンシャルを感じる毎日である。

 子どもたちは時々、そのポテンシャルをもって私たち大人を驚かせることがある。四月には文法や文章構成など完全に無視したハチャメチャな英語を話していた子も、今となってはネイティブスピーカーと遜色なく英語で会話している。普段から大人しく、子どもの輪の中心にはいなかったような子が、学校では運動会の団長になり、頼りにされている。例を挙げればきりがないほど、子どもたちは日々大きな喜び、感動、驚きを与えてくれる。そんな子どもたちを一年間預かり、親に代わって面倒を見るということに、責任を感じるとともに、大きな誇りも感じている。私たちがかける言葉一つひとつが常に影響を与えているということを忘れずに言葉選びをしていかなければならない。子どもたちと関わる中で言葉がけに迷ったときには、まず「子どもたちのため」を思った選択をできる指導員であるとともに、子どもたちとともに経験する様々な活動の中で、常に背中を押し、ポテンシャルを引き出す存在でありたい。

 英語村での生活も残り三か月になった。新年を迎え、決意を新たに留学生活へと戻る二十二人の子どもたちが、英語はもちろん、一人の人間として、今後どのような成長を見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。















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