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干し柿

売木学園食育指導員  井澤和寛

 気温が下がり、周りの木々が茶色く色付く頃に毎年やって来る行事がある。それは干し柿作りである。

 下伊那には市田柿というブランド品の干し柿が有るほど干し柿作りが盛んな所である。

 飯田市内を車で通ると多くの柿の木が並んでおり、時季になると民家の軒下には皮を剥き、糸に吊(つ)るされた柿が暖簾(のれん)の様に並んで干されている。

 センターでも干し柿作りをしているが、売木村は飯田市程柿の木が多い訳ではない。毎年多くの家の方に声を掛け、柿を分けて頂きながら作っている。

 昨年は収穫祭の後でお願いに行ったが村民の方から「遅いよー」と言われながら分けて頂いた。その反省を生かし、今年は十月下旬に声を掛け、十一月上旬に集める事が出来た。日当たりにより色付き方が異なる為色付きを見ながら採る。自然の恵みなので毎年実る量に違いがある。今年は量が少ない木が多かったので昨年よりも件数を増やし、昨年並みに収穫することが出来た。

 柿を採っている時は夢中になりどんどん採る。しかし、後で採った量を見て後悔する。何故か?それはこの後、採った柿の皮を全部剥かなければならないからだ。柿の皮を剥き疲れた時にまたもや後悔。採り過ぎた。そんな思いを繰り返しながら毎年作っている。

 大変な事も多いがセンターの子ども達の美味しそうに食べる姿を見ると作って良かったと実感する。

 でも疑問がある。村内には不味いと有名な柿の木が一本あり、村民の方は誰もそこの柿を採ろうとはしない。確かに食べると甘味が少なく、美味しいとは言えない。しかし、センターでは貴重な食材なので、その柿を使って干し柿を作っているが、子ども達は誰も不味いとは言わない。日頃、お菓子等の糖分を取っていない子ども達には貴重な糖分なのだろう。そんな食材本来の味に満足出来る味覚を持ってくれる事に食育指導員として嬉しい限りである。















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