「挑戦」
山村留学指導員 沼澤佳明奈
先日、人生初のマラソン大会に出場した。例年学園生は大町市で開催されるアルプスマラソン大会に3kmの種目で全員出場している。「職員もエントリーしていいから、走ってみたら?」という勧めにこれはいい機会だと、出場を決めた。種目は約21kmのハーフであるが、これまで10km以上走ったことのない私にとって、大きな挑戦であった。完走を目標に、センターから2.5kmのアップダウンが厳しいコースを日々往復した。初めは走りきるだけでも精一杯だったが、回数を重ねるごとにペースをつかみ、体力的に余裕を持って走れるようになっていった。大会当日、3kmに出場する学園生たちを応援し、彼らのゴールと入れ違いにスタートラインに立った。スタートしてすぐ、観覧席から学園生たちの声援が聞こえた。少し恥ずかしい気持ちと、嬉しい気持ちがこみ上げた。彼らの応援に強く背中を押され、人生初のマラソン大会は無事に完走することができた。
干し柿
売木学園食育指導員 井澤和寛
気温が下がり、周りの木々が茶色く色付く頃に毎年やって来る行事がある。それは干し柿作りである。
「先輩の教え」
山村留学指導員 横山みのり
私が育てる会の一員としてこの大岡の地に配属されてから、早くも二か月が過ぎた。山々はすっかり紅葉で彩られ、アルプスの雪化粧が冬の気配を感じさせる。思い返せば、私が最初に大岡の地を踏んだのは、まだ暑い七月の初めごろであった。大岡で暮らす子どもたちは、みなとても友好的で、どこか落ち着いた雰囲気を持っているのが印象的であった。そして、彼らの日々の姿から感謝の心や自分の気持ちの伝え方など、人として大切なことを改めて教わることが多く、私はそれに気付くたびに、襟を正される思いであった。
「椎の実を食べる」
山村留学指導員 浅平泰地
山留生の食べ物への情熱は並外れたものがあります。普段から、自由におやつも買ってもらえない環境ですから、野山で得られるおやつへの嗅覚はなかなかのもので、放課後センターの裏山でタラの芽採りをしたり、ある日はポケット一杯に栗を拾ってきたり、キイチゴがなる秘密の場所を知っていたりなど、大人から見ても感心することがしばしばあります。
「英語村のお花」
山村留学指導員 大嶋しおり
「I'm home !」「welcome back!」
「なんかいい匂いがする?。金木犀?」自転車に乗って帰ってきた留学生が英語村の玄関に入ってきて言った。九月も終わりの頃、英語村の玄関の花瓶には金木犀(きんもくせい)と銀木犀が飾られ、秋を感じる甘い香りが漂っていた。
個人体験のテーマとの出会い
山村留学指導員 山本将寛
現在、留学生たちは収穫祭に向けて個人体験を進めている。その姿は様々だが、中にはテーマが決まらず、他の留学生のところをフラフラさまよう留学生の姿があった。しかし、私は「何かやりたいことはないの?」と問うばかりで、具体的にどのような指導をすればよいのか分からなかった。どうしたらその留学生がやりたいことに出会えるのか、そもそも個人体験の根幹になる、やりたい、追い求めたいという気持ちがどのようにして生まれるのか疑問を持った。