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短期活動にまつわって...
山村留学売木学園
山村留学指導員 戸田佐和子
新型コロナウイルスの感染第七波が急拡大する中で迎えた夏休み。学園生が帰省しがらんとした学園で七月末、募集人数や集合解散地を減らした形にはなったが防疫対策をしっかりと行いながら、三年ぶりとなる短期活動を実施することができた。それぞれに貴重な体験を積んで帰った参加者の、活動後のアンケートによると、満足しているとの回答が大多数だったので、胸を撫(な)で下ろした。
参加者の一人に、母親が二十年ほど前の山留生だったという女児がいた。母親も、三十年以上前の自身が幼児低学年の頃から短期活動に参加経験があった。そして、毎年様々な活動に参加し続け、何年にもわたり親御さんを説得し、念願叶【ルビ:かな】ってラストチャンスの一年間だけ売木村に長期留学をしたという経歴の持ち主。彼女と私は、かつての山留生と指導員の間柄。また、学生の頃にはスタッフやリーダーとして短期活動のお手伝いも。山村留学に並々ならぬ思い入れがあり、いずれは娘を売木に長期留学させたいと密かに願い、小一になるのを待ち、満を持して今夏の活動に申し込んだらしい。親子二代にわたる関わりに、感慨深い気持ちを抱きながら五日間活動。母親の面影を感じる場面が多々あり、つい口元が緩んでしまった。
八月、珍しく私宛てに二通の手紙が届いた。差出人は、コロナ禍になる前年まで毎夏短期活動の長期班に参加していた女子二人。学年も居住地も違う二人は、活動の継続参加がきっかけで友人となり、活動後も文通を続けてきた。現在高校生の彼女たちは今夏久しぶりに会い、売木の思い出で盛り上がって、それぞれ手紙を書こうとなったらしい。どちらにも、短期活動が何ものにも代え難い体験だったこと等が綴(つづ)られていて、私はとても幸せな気持ちになった。
八月下旬、三十年近く前から数年間、娘を短期活動に参加させていたという初老の男性が来園。初めて村や学園を訪れ、本当に良い所で色褪(あ)せない体験を積ませられたと再実感し、満足顔で帰られた。
励みになることが多い夏だった。