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指導者だより

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山でも町でも

山村留学指導員 松浦実穂

 先日、南砺市内の文化により広く触れてみようと、福光・城端(じょうはな)の町歩きを行った。
 まずは下見へ。福光には、菓子屋・本屋・酒屋などが立ち並ぶレトロな商店街や素朴な路地が未だ息づいていて味わい深い。日本一のシェアを誇る木製バット生産の歴史や、所縁ある板画家・棟方志功など先人の足跡も、各所に感じられる。城端は、蔵や石畳、町家が重みをもって立ち並ぶ城端別院善徳寺の門前町だ。曳山(ひきやま)や絹織物、木型などの華やかで繊細な文化に加え、坂道や小路、水車にも懐かしいような魅力がある。子どもたちは何に興味を持つだろうかと、活動への期待が膨らんだ。

 そしていざ活動当日。時折雨も降る蒸し暑い曇り空の下ではあったが、自分たちで計画した場所へ行く・久しぶりに電車に乗れる・おやつを買えるということもあり、旅行のようなわくわく感がにじむ。道の色味や家のつくりに足を止める子、ミュージアムで飽かずバットに触れる子、お菓子の型をとる木型を面白がる子、おやつを真剣に選ぶ子。一人一人の興味関心が刺激される時間になった。
 同時に一番感じたのは、山村での日常と変わらない子どもたちの頼もしさだ。「この田んぼ、カエルだらけだよ!」と畦(あぜ)に並んで眺めたり、「サギがこんなに近くにいる!」と動きを真似したり。昼食後に小三から中三までの子が一緒に鬼ごっこをする姿は、利賀にいるときと変わらず微笑ましい。地図と時間を見ながら歩く中では、入園当初より班員への理解が深まっているのがわかる。各班が互いの一日を紹介した振り返りでは、「おやつに地元の素材が使われていて...」「城端の祭りでは曳くものの順番が...」と地域や人からの学びがたくさん紹介された。
 利賀での自然や暮らしの体験で彼らに培われているのは、利賀の魅力への体感や理解に留まらない。どこに行っても楽しめる、自然や人・文化に興味を持てる、尊重できる。そんなバランス感覚や対応力が少しずつ培われていると感じられた嬉しい活動になった。















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