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「指導者としての私」

山村留学指導員 福尾静花

 4月の入園から、約2ヶ月が過ぎようとしている。大岡の山々は、カラマツの深緑色と木々の新緑が入り混じり、美しいパッチワークのようになっている。学園生たちは、新しい生活に慣れ始め、山菜採りを楽しんだり、代かきや田植えに精を出した。

 センターでの農作業や生活面で中心になって動いているのは、継続園生たちだ。4月初め、基本的生活習慣ミーティングでは、継続園生が掃除の仕方を実演した。「ここには汚れがたまりやすいよ」「鏡を拭く新聞紙は、小さく畳んで鏡の裏に挟んでおくと、取り出しやすい」というアドバイスは、毎日掃除をする体験の中で、発見したものだろう。新入園生が真剣な表情で聞き入っている様子を見て、自らの体験に基づいた言葉は、人の心に響くのだということを実感する。
 また、週末の宿題確認は、小学6年生のH男が小学生に声を掛ける。山村留学2年目、彼の目標は、年下の子たちの面倒をみること、小学生をまとめることだ。この目標に向かって、「小学生、宿題確認するよ!」と掛ける声に、4・5年生たちが集まってくる。週末には野外活動や畑仕事がある中で、宿題は金曜にすぐに取りかかり、日曜には終わらせるという意識が小学生の中に定着しつつある。時間をつくり、小学生で芸能練習を始めたい兄、宿題を早く終わらせて三線を練習する姉の姿が、「やるべきことを終わらせて、時間をつくる」という能動的な姿勢を小学生たちに与えているようだ。
 このような学園生たちの姿を見て、私からは「宿題やった?」「学校の準備は?」とはなるべく言わないようにしている。では、指導者として私は何をすべきだろうか。やる気が下がったとき、壁に突き当たったとき、どのような言葉が子どもたちの心を動かし、やる気を引き出すのだろう。共に生活し、体験を重ねる中で会話し、ときには行動から性格を読み解き、「しずちゃん、あのね...」と話しかけたくなるような存在になりたいと思う。















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