トップ > 指導者だより > 「山村留学の果実」

指導者だより

« 四十期スタート | メイン | 自分の足で行って、帰ってくる »

「山村留学の果実」

山村留学指導員 赤坂隆宏

 八坂47期、美麻31期の山村留学が、継続生16名、新入園生16名、計32名で始まった。
 今年度、継続生の中には、5年目、長い子は6年目という継続年数の子がいる。毎年悩み葛藤しながらも継続を決意してきたその子たちがついに最上級生となり、最後の年を迎えた。

 入園後、10日ほど過ぎたところで、改めて中学3年の5人で話し合いをした。まずは、新入園生を中心とした個々の様子の情報交換から。ホームシック気味の子、さっそく生活習慣の定着に苦戦している子、素が出始めて、自己主張が強く周囲とぶつかることが目立ってきている子など、5つの生活班で班長として関わる中での現状課題やそれぞれの性格、特性など捉えている様子を出し合った。
 その中で、「年下の子とのコミュニケーションをうまく続かせ、伝えたいことをしっかりと聞いてもらうためにはどうしたら?」という悩みの共有に対して、ある子からこんな発言があった。「まず、その子のやっていることを頭から否定しないこと。そして、教えるばっかりのコミュニケーションになりがちだから、まずは自分たちが楽しんでいる背中を見せて、そこに入りたそうにする姿を見逃さず声をかけて入れてあげて、一緒に遊んで時間を過ごしてあげればいいんだよ。」
 人間関係構築における本質に触れた発言と日々体現する姿。その子は4年間の集団生活において決して順風満帆ではなかった姿と重ねると、失敗から学び一つずつでも積み重ねて実らせた果実のように感じ、何とも感慨深いものがあった。
 「思い通りにならない」ことで悩み、考え葛藤すること。そのプロセスを経て、多様性を理解し、他者を受容し、自身の価値観の醸成に繋(つな)がっていく。一人ひとりの学びの熟成期間は様々。山村留学の果実も多様で味わい深い。















©SODATERUKAI All rights reserved.