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「みんながいるからこそ」

山村留学指導員 赤坂隆宏

 この学園の大きな特色の1つとして、全国各地から親元離れ集まった30人以上の学園生による大規模な集団生活がある。かつ、小学3年から中学3年までの、最大7歳差ある異年齢による擬兄弟姉妹関係があり、さらには継続年数が1年?5年までという幅広い経験年数を持つ学園生が、自分の意思により毎年入れ替わる、多様な価値観と立場が混在する集団とも言える。

 そんな集団では、「みんながいるからこそ」できることも多いが、うまくいかないことも多い。全てが自分の思い通りにはなるはずもなく、我慢し、自制し、互いを気遣う気持ちがなければ、この集団の力はマイナスに働く怖さも孕(はら)んでいる。けれど、だからこそ、経験や学びも多様で大きいものとも言える。集団の中で、互いの個性特性に気付き、受け入れ、認め合う経験。日々の自然体験や野外活動だけでなく、日常の暮らしをベースに苦楽を共にするからこそ辿(たど)り着く学び。
 学びの波が大きくなる機会として、十一月に実施する収穫祭がある。最上学年や継続年数の多い子が中心となり、異年齢集団の気持ちのベクトルを揃(そろ)えていく合意形成のプロセスにマニュアルはない。互いの想いを伝え、生活を見直し、互いのモチベーションを高めつつ、それぞれに小さなアクションが生まれていく。その自律心を育むプロセスの中で、個々に刻まれていく気付きや学びがある。
 「誰かのがんばりや本気な表情を見て、自分も本気でがんばろうと思った」「自分の気持ちは言わなきゃ伝わらない。察してくれるのを待つのではなく、自分をアピールし、周りにどうしてほしいかを伝えること」「人を多面的に見るようになった」...。収穫祭後、三十一人で輪になり行った反省会で出てきた言葉たち。その熱を帯びた言葉が飛び交う瞬間が訪れた今年度も修園を迎える。学びの芽を大事に育んでほしいと願う。















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