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人をおもんぱかる

山村留学指導員 有坂亮祐

 正月が明けて、窓の外を見ると雪がちらついていることが多い。大川にいると、雪のない地方からきた人は、道路が真っ白になっているのを見て、「あぁ、雪が積もっている」と感慨深そうに言う。薄っすら積もる程度だと、「まだまだ積もるぞ」と大川の人は返す。雪が降る地方に住んでいる人と、住んでいない人とで感じ方が分かれる場面だ。自分が今まで経験してきたことが比較対象になっているので、同じ景色を見ても、同じような気持ちになるとは限らない。

 1月9日。留学生がセンターに戻ってきた。中学三年生以外は継続するか否かの話し合いを家族としてきており、継続希望の子は帰寮してきた日に面接を行った。

 待合室代わりのホールでは留学生同士でこんな会話が。
「面接で何聞かれた?」
「うーん。どんな自分になりたいかとか、来年はどんな風に過ごしたいかとか......?あ、留学生活で悩んでいることはなんですか?っていうのも聞かれた」
「なんて答えたの?」
「人間関係」
 
 人間関係は、思春期の子にとってはものすごく頭を悩ませるところだろう。自分が思っていることを話しても、他者に理解されなかったり、逆に他者のしているちょっとした行動が、自分の理念に反しており、イライラしたり......。指導者として、人間関係を改善させたい気持ちはあるが、それはとても難しい。人間関係は、最終的には頭を悩ませている本人が自力でなんとかする以外、解決策がないのだから。それで悩んでいる子を見ると、いつも歯がゆい気持ちになる。
 指導員は、解決はできないかもしれないが、本人から話を聞いて、気持ちを楽にさせることはできる。嫌いな人がいるときの心の持ちようを話すことで、改善のきっかけを作ることもできる。
 締めくくりの三学期、今までよりも留学生の気持ちを考え、子どもに寄りそう指導をしたい。















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