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「山村留学とICT教育」

山村留学指導員 谷田怜海

 学校ではICT教育の導入が進んでいるようだ。授業参観ではデジタル端末を活用した授業を見学し、学園生が巧みに使っている姿を見ることができた。社会科見学のまとめをスライドで紹介したり、教科書の文章の感想をシェアしたりと活用方法の幅が広いことを実感した。

 そして学校内のみと思っていたデジタル教育だが、家庭内への導入も始まりそうだ。昨年の十二月中旬には、八坂小生と美麻小中生が学校で使っているデジタル端末をセンターへ持ってきた。自宅のWi-Fiにつながるか確認することを目的に、五分もかからないオンライン課題が出されたのだ。学園生たちは指導者室前に集まり、家庭用とは少し違うWi-Fiの繋ぎ方を教わりながら、課題をこなしていた。デジタル端末に躊躇(ちゅうちょ)なく向き合う学園生の姿に感銘を受けたと同時に、山村留学内でのICT教育の方法について考えさせられた。
 山村留学の魅力の一つは、有り余る情報や物資から物理的に距離をおき、本当に興味があることは何かを全身で探求することだ。したがって、センターでスマートフォンやポータブルゲーム機を使用することは基本的にない。
 しかし学校教育にもデジタル端末が使われるようになった今、山村留学中の使用も考え直す必要があるのかもしれない。ただ、ネットを使った娯楽がなかったり、興味あることをすぐにネット検索できなかったりという不便さは大切にしたい。そういった不便さを経験することで、例えば地域の方々に質問するなどネット以外の調べ方を探り、より柔軟な発想が出来るようになる。それは困難に直面した時に乗り越える力を育み、修園後の多様なトラブルに抱えた際にも役立つだろう。学園へのICT教育を導入しても、便利になりすぎず、からだ全体で興味関心を追求し続けてもらいたい。















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