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思いに支えられて
南砺利賀みらい留学
山村留学指導員 松浦実穂
十一月二十日、利賀みらい留学にとって初めての収穫祭を行った。「第一回」の収穫祭を留学生と共に作り上げる過程は、希望と新鮮味に満ちたものである反面、これまでの積み重ねやいろいろな人の思いを振り返り、地に足のついた収穫祭にすることの大切さを実感する機会になった。
農作業からの学びや自然への感謝を表現するには、どんな形が適切か。利賀には民謡など尊ぶべき文化があるけれど、それをふまえて留学生はどのような表現活動ができるか。利賀では初めてのこの行事を、どのように子どもたちと創り上げていくか。話し合い、考える中で、「思いを知る」ことが私たちの道標になった。
日頃から子どもたちを支え見守ってくださっている利賀地域の方々や先生方、子どもたちの生き生きとした姿を楽しみに送り出してくださっている保護者、「山村留学」という教育活動の礎を築いてきた育てる会の諸先輩方。留学生はこの八ヶ月、たくさんの方の思いが詰まった環境に抱かれて日々の活動に取り組んできた。自身のやりたい体験や、太鼓・民舞の練習にも打ち込み、収穫祭に際して全てを振り返る中では、子どもたち自身、多くの気づきがあったようだ。「活動で楽しかったこと」「苦しかったことやそこでの気づき」「周囲の人の優しさやすごさがわかったこと」苦しみや喜び、そして感謝と、代えがたい心の収穫は、たくさんの方たちの思いに支えられた体験を、八ヶ月間積み重ねることができたからこそのものだと思う。収穫祭本番、それを与えてくれたたくさんの人が優しく見守ってくださったからこそ、子どもたちは、練習以上にのびのびとそれらを表現したのだろう。
今、子どもたちには、修園までの四ヶ月を見据えて、「星空観察に取り組みたい」「かまくらを作りたい」「感謝を忘れず時間を大切に過ごしたい」など、新たに生まれた意欲がある。指導員として共にする一つ一つの活動を、たくさんの人の思いを支えにして、大切に積み重ねていきたいと思う。