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動機
大川村ふるさと留学
山村留学指導員 有坂亮祐
木の葉が落ちる。上から下に向かって。しかし大川村では下に落ちていくはずの木の葉が上に昇っていくことがある。ダム湖や谷間を強風が吹くと、崖にぶつかり、風が山を登っていく。その時に風が木の葉を巻き上げて上に昇っていくのだ。通常とは逆の動きをする落ち葉はいつ見ても新鮮な気分になる。
十一月に入り、少しずつだが、気温が下がってきている。十一月は行事が多く存在した。その中でも印象に残ったのが産業文化祭だ。産業文化祭とは、村内在住の人や、村内に勤務している人が対象の文化祭で、歌や踊りの発表や芸術作品、農産物の展示がある。留学生は毎年ここで太鼓の発表を行っている。有志でチームを作ったり、一人で出演したりすることもできるので留学生は太鼓の発表以外にも出演することもできる。
今年は留学生の女子三人でチームを組み、韓国にある人気グループのダンスを披露した。産業文化祭前から、センター生活で短い自由時間を見つけてはダンスの練習をしており、発表に対する真剣度合は日常生活を見ているだけで伝わってきた。何度も練習していたため、本番では息の揃(そろ)った高い完成度の発表となっていた。人数こそ少数で圧倒するものはなかったものの、タイミングや動きの揃い方を見ると、留学生全員で行う太鼓発表よりも確実によくできていた。
ここまでよくできたダンスになったのは、子どもたち自身の中から出てきた案だったことが何よりも大きいのではないだろうか。
子どもたちの中から出てきた案というのは、突拍子もないものが出てくることがある。今回の韓流ダンスに関しては、「山村留学」という理念を考えた時に、その意図にそぐう内容ではないはずだ。しかし、子どもたちから出た案というのは、そこに向かっていくモチベーションが高く、良い結果に結びつきやすい。山村留学的には合わないものでも、子どもたちに与える良い影響は計り知れなかった。