トップ > 指導者だより > 時間とは

指導者だより

« 修園生ボランティアの来園 | メイン | 同じ八坂でも... »

時間とは

山村留学指導員 高木陽光

 収穫祭が無事に終わり、学園生は普段の生活に戻った。年に一度の大イベントである収穫祭に向けてギチギチのスケジュールを送っていた学園生たちは、時間の大切さに気付いたという。中には時間の大切さは知っていたが改めて実感したという子もいた。子どものうちに時間を大切だと感じることは案外少ない。例えば、夏休みの宿題が終わらずに最終日を迎えたり、卒業式までの日数をカウントダウンしたりと少し意識する程度だ。そのため、時間について考える機会もそう多くはないだろう。

 しかし、山村留学生活では集団生活だからこそ時間の大切さに気付くことができる。貴重な経験だ。
 時間について考えていくと、様々な特徴がある。まず時間そのものに実体はなく、時計を見て人間は時間を知ることができる。また、空腹や眠気などでも時間を感じることもできる。さらに身近なところで言うと、時間は逆行しないということだ。私たちの生きている世界では、一度起きてしまったことはやり直せない仕組みである。これらは何気ない生活を送っていても気付くことではあるが、漫然と認識していても、大切さには気付かないだろう。やはり特に重要な点は、時間は逆行しないということをどこまで実感できるか、だと私は考える。
 そもそも収穫祭を前後に学園生たちが時間を大事に使おう、となったのも時間を作ろうとせず、収穫祭の準備が進まなかったからだ。その時間の使い方を「もったいない」と感じられたから大切だと気付けた。逆説的に時間が逆行しないことで後悔や反省をしたからこそ気付けたということになる。
 人間は生まれた瞬間から最期まで時間の中で生きていく。たった数年の山村留学生活で得る時間の捉え方は、日本で普通の生活をしている同年代の中では、かなり鋭くなると感じる。少なくとも、今の学園生たちが山村留学を始めた4月頃と比べると、大きく変わった。これからの人生で役に立つ、強力な武器になることは間違いなさそうだ。















©SODATERUKAI All rights reserved.