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「大人の個人体験」

山村留学指導員 邑上貴厚

 10月も半ばを過ぎる頃、利賀村ではこれまでの陽気が嘘であるかのように朝晩の冷え込みが激しくなった。晩秋と言うよりは冬の始まりと言ったところだろうか。
 学園では、11月20日に行われる第1回目の収穫祭へ向けて、留学生がそれぞれ演目の練習や、個人体験に精を出す姿が見受けられる。

 そんな中、今年は私も久々に個人体験をしてみようとふと思い立った。
 今年度利賀村に赴任して、好きになった風景がある。そこは私の住んでいる家から少し行ったところの風景。大きく開けた谷間に流れる川の水音がとても心地よい。そんな風景を毎日感じながら何かができたらと思った。
 もともと身体を、動かす事が好きな性分なので、その周辺を毎日走る事にした。
 けれど、毎日続けるというのは中々難しいだろうと思っていた。
 しかし、いざ始めてみると不思議な事にどれだけ疲れていても、時間を取ることが困難でも、自然とそこに足を踏み出している自分がいた。
 これまでも、自分の中で毎日やろうと決めて実際に取り組んできた事はあるのだが、疲れていたらやりたくないなと思ってしまうし、そういう自分に負けない事は美徳だと思っていた。
 けれど、今回はそうではない。何故か自然とやろうという気持ちが沸き起こってくるのだ。
 ちょっとした折に、実家に寄る事があったので、同じように街中を走ってみたが、翌日にはそこまでのモチベーションは湧かなかった。
 私は、自然のある風景を肌で感じ、移ろい行く季節の中で走るということに価値を感じる人間だったという事だ。
 本当に好きな事なら、本当にやりたいと思える事なら、多少の困難や障害は、乗り越えて行く事ができる。
 今個人体験に取り組んでいる子ども達にもそういった体験に出会って欲しいと心から思った。















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