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指導者だより

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山村留学指導員 有坂亮祐

 秋が深まるこの季節にも、毎朝、留学生と外にでて朝の集いを行っている。毎日見ているのに、山の色は変化しているように感じない。しかし、それが一週間、一ヶ月と経ったとき、山の色は明らかに変わっているのだ。一日一日見ていても感じ取れない変化の積み重ねが、人が驚くような変化につながる。毎日接していて、子どもたちに成長がないように感じるときがあっても、裏ではしっかりと変化している。赤く染まった葉は、子どもたちと重なって見える。

 大川村の山村留学では耕作放棄地にある柿を収穫した。今年は猿の被害が少なく、思っていた以上の収穫量だった。
 収穫する作業は楽しいのか、高枝切狭を使って柿をとるうちにあっという間に時間が過ぎていく。予定していた場所を急いで回るような感じだった。帰りの車では我慢できずに柿を食べる留学生がちらほら。
 柿を収穫した日から数日たち、朝食のデザートに柿が出る日がやってきた。しかし、その柿は収穫したものではなく、どこかから買ってきたもの。大川村の留学では朝食の準備を指導員が行っている。朝、柿の皮を剥きながら、「留学生はこの柿を採ってきた柿と勘違いするのだろうな」と、想像を巡らせていた。
 朝食の際、留学生の方から「この柿はこの前採ってきたやつですか?」と聞いてきた。「どっちだと思う?」と聞き返すと、留学生は「採ってきたやつじゃないと思います」と、答えた。その留学生が言うには、この前採った柿と比べて甘みが強いのだとか。後から柿を食べて見ると、なるほど、確かに今朝の柿の方が甘みが強い。きちんと味わって食べているのだと、留学生の感性にただただ感服した。
 留学センターでは米作りの作業として脱穀が控えている。脱穀、精米を終え、新米ができたとき、今回の柿の様に、新米ができたことに気づく子が現れるかと思うと、この先の留学生活が少し楽しみになる。















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