トップ > 指導者だより > 「大人になりたい」

指導者だより

« 「活動を考える楽しみ」 | メイン | 「石見弁を話す山村留学生」 »

「大人になりたい」

山村留学指導員 有坂亮祐

 年齢的に大人になった今、その気持ちがさらに強くなっていく。「大人」というのは単に年齢による枠組み以外の意味合いを持つことがある。
 個人的な話になるが、私にとっての大人の定義は、感情のコントロールができ、他者の視点で物事を考えられ、思いやることができる。しかし、必要な時には自分の考え方を相手に不快感なく、かつ齟齬もなく伝えることができる......、など人としての理想を全て詰め込んだ人物像が、私がイメージする大人だ。
 いつ頃から、そんな大人像が私の中にあったのかはわからないが、大学生になる頃にはすでに存在していたように思う。
 自分がうまくできないことがあったとき、「大人になれたらなぁ」という単語がよく頭の中をめぐる。

 留学生が大川村で過ごしているとき、学校やセンターで、叱られたり、本人にとって不条理なことが起こったりしたとき、「大人になんてなりたくない」という言葉を耳にする。状況は様々で、大人がよくない場合もあるが、大概は子どもが子どもらしくあっただけの場合が多い。
 その子にとって、自身が否定されたり、思った通りに物事が進まなかったりしたときに「大人になりたくない」というワードが出てくるのだと思う。
 こう考えると、「大人になりたい」と、「大人になりたくない」は言葉だけとらえると真逆の意味だが、本質は一緒のように感じる。きっと、自分が思った通りにいかなかったときに心の中を渦巻く感情をひとまとめにして出てきたのだろう。同じ意味でも、表現の仕方が違うのだ。
 言葉が真逆でも、本質は一緒、という場合は往々にある。言葉を扱うことは難しい。
 言葉の本質を見極めなければ、誤解から人間関係の亀裂を生みやすい。留学生が相手でも、他の人が相手でも、できるだけ誤解を生まないように細心の注意を払って言葉をつかえるようになりたい。















©SODATERUKAI All rights reserved.