« 『二学期を迎えて』 | メイン | 「興味関心の種を」 »
コロナ禍での登山
山村留学売木学園
山村留学指導員 戸田佐和子
八月末の週末、隣村にそびえる高嶺山(1,599M)を登った。標高差約670M・往復10?強の日帰り山行。学園生たちには、本格的な登山とは言えないと話したのだが、低い山や緩やかな山でも山頂まで到達することを目的とする場合は登山と言えるらしい。
私は夏休み明けの子どもらの体力低下を懸念していたが、学園生たちは構えず軽い気持ちで、先頭の後ろに相談して体力のない順に並び、一列で登り始めた。案の定、暫く続く急坂に辟易し、息が上がり、喋る元気や余力もなくなり。
しかし、遅れがちな子を励まし列の前の方で歩かせたり、全員参加の「食べものしりとり」を楽しんで苦しさを紛らわしたりすることで、良いペースを保って登り続けられた。
雲一つない上天気で、残暑厳しく、山の上は寒いということだけは全く体感できなかったが、おあつらえ向きの登山日和だった。素晴らしい展望を堪能し、精神力や克己心を培い、皆で達成感を分かち合う等、この活動の目的を果たせた。
多くの人たちの協力や支援のおかげで、山留生活はコロナにそれほど左右されていないが、活動は影響を受け振り回されている。
今回の登山もそうだ。元々は県内の三、〇〇〇M級の山に山小屋泊で行く計画だったが、都合で参加できない子も出たため中止か延期かの判断を迫られた。すると、コロナの影響で急遽全員参加が可能な状況となり、活動一週間前に代替案を提出する必要が出てきた。
コロナ禍にあっても、十分な感染予防策を講じ、子どもたちから自然体験活動の機会を奪いたくないと思っているが、自分の見通しの甘さに呆れた。変化する状況に合わせて柔軟に臨機応変に対応できるよう幾つかの活動計画を用意しておく必要を痛感。結局、同じくコロナ禍だった昨年に計画実施し、活動の目的やねらいを達成できた里山登山を、今回も提供した。
下山後、本格的な登山に興味をもったと話す子らがいた。今後もコロナに翻弄され予定が変わるだろうから、挑戦の機会を作りたい。