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「外へ出る」
大川村ふるさと留学
山村留学指導員 有坂亮祐
今まで、ヒグラシが鳴いていたのに、いつのまにかツクツクボウシの鳴き声が混ざっている。夜も冷え込むようになり、夏が終わりを告げようとしている。
今年はコロナウイルスの影響で、育てる会の夏行事がなく、子どもがいない夏休みをのんびりと過ごしていた。厳密に言うと、夏行事がなかったのは去年からのことであるし、のんびりと過ごしたと言っても、村の行事の手伝いをしながら過ごす八月だった。
振り返ると、今年はひたすら村内に出ていた夏だった。ツアーの手伝いに参加したり、隣町との交流の場に赴いたり、村の人と一緒に飲んだり、大半の時間を村の人と過ごしていた。
そんな時間を過ごしていく中で、村の人の過ごし方に目が向くようになる。留学指導員をしていると、平日の昼間が休みになり、休日が仕事になる。つまり、村の人と関わる場合、相手が仕事をしている時間が多いのだ。
夏休みの土日、普段は休日に足を運ぶことはない村の駅に顔を出してみると、村内の家族連れが、ちらほらいた。小さな村の小さな店の平日は、いつも閑散としていたので休日になると賑わっている様子に少し戸惑ってしまった。
平日の昼間に働く職員は役場の職員だけでなく、地域おこし協力隊も似たような勤務体制をとっていた。地域おこし協力隊は自分で出勤する日を決めることができるのだが、村役場が平日にしか開かないため、役場に合わせて活動をしている人が多かった。
子どもたちが夏休みの間、村の人の仕事に同行したり、話を聞きに行ったりしたことで、今までは何をしているのかよくわからなかった人たちの生活となりを知る機会を持てたことが、コロナ禍における夏休みの収穫だった。
山村留学センターで働いていると、留学センターのことばかりに目が向きがちになってしまいがちだ。留学センターは村の一部であってすべてではない。センターの外を知ることも、とても大事なことなのだと思う。