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「楽しみの形」

山村留学指導員 邑上貴厚

 1学期も終盤に近づいてきた7月半ば、南砺市にもようやく夏の陽気が訪れるようになった。センターの横を流れる利賀川では、子どもたちも待ち侘びていた川遊びの活動がスタートした。

 ライフジャケットと、ヘルメットを装備して、川へと向かう。私は早速、監視を他の指導員に任せ、子どもたちが楽しめるようにと、川にある岩を使って、ウォータースライダー作りに取り掛かった。
 このウォータースライダー作り、ほとんどが肉体労働なのだが、なかなかに頭を使う。川底の様子を目と手足で確かめながら、どのように流れを変えれば浮き輪などが引っかからないで、より遠くまで行けるか。また、どの箇所に岩を積み上げれば川の水位が増えても長持ちするか。色々なことを試行錯誤しながら川底の岩を引っ張り出していく。活動後には強烈な疲労感に襲われるのだが......。
 そんな私に「手伝います!」と声をかけてきたのが中学生のAとBとCだ。彼らは元々冷たい川の活動はあまり得意ではなかったのだが......。2時間ほどの川遊びの活動が終わりに近づくと、彼らの手伝いの甲斐もあって、最初に比べると、かなりウォータースライダーの形ができあがってきた。
 「あと5分くらいしたら、あがろう!」と私が皆に声をかけると
 「最後に自分たちも行ってきます!」と彼らは浮き輪を手に、川の流れに乗って行った。
 「今日はみんなのためにありがとう。君たちは1回だけしかできなかったけど、よかったのかい?」と活動後に問うと、彼らは口を揃えて、「作ることそのものが楽しかった。他の子が自分たちの作ったところを使って、楽しんでいる姿を見るのが良かった。」と、こう言った。
 こうした、フィールドを主体にした活動では、子どもたちの様々な楽しみの形が見えてくる。たとえそれが作業的なことであったとしても、そこに「遊び」が生まれる。そこには、決まった形は何もない。自然というものの偉大さに、改めて気付かされた1日となった。















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