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畑での壮絶な戦い

山村留学指導員 稲井祐介

 労を厭わず働く体験、作物を育てる大変さと収穫の喜びを感じる体験を主な目的として、センターでは畑作業を行っている。
 今まで十数年、子どもたちと一緒に畑作業を行ってきたが、自分が畑の活動担当になったのは今年度が初めてだった。

 このセンターでの畑作業の一番の難点は動物対策。特にカラスの被害がとても多く、毎年難儀している。「今年は絶対に獲らせん!」と決意し、主にカラス対策をさまざま考えた。まずはイチゴ。弾性ポールを使って畝に沿ってトンネル状にネットを張り巡らせることで、完全に動物被害をシャットアウトすることができた。
 次に夏野菜。今年植えた野菜の中で狙われ易いのは、トマト、キュウリ、ナス、トウモロコシだ。イチゴのように畝全体をネットで囲んでしまうことも考えたが、随時成ったものを収穫するときの手間を考えると得策ではないと判断し、畑の周囲に設置しているワイヤーメッシュの支柱部分(二メートル間隔)に長さ約三メートルの竹を結わえ、その竹の先端に格子状に糸を張り巡らせ、またワイヤーメッシュと竹の先端までの隙間にも糸を張った。
 それから数日、事務室から畑を眺めていてもカラスが入る様子がなかったので安心していたが、いざ畑に入ってみるとトマトやキュウリが食べられていた。カラス以外の動物の可能性もあったので、もう少し様子を見ていると、ある日、トウモロコシが全て食べられており、トマトの支柱にカラスが停まっていた。どうやら糸の隙間から侵入したらしく、自分の考えの甘さを後悔した。
 その後、さらに糸の隙間をなくすために、網と糸を張り巡らせてからは、野菜が食べられた形跡はない。夏休みが明けて、実家から帰園してきた子どもたちが収穫の喜びを味わえるようまだまだ気を緩めるわけにはいかない。















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