ミクロのススメ
2021年07月
三瓶こだま学園
三瓶こだま学園
山村留学指導員 齊藤夏海
最初の緊急事態宣言が発令された当時、マンションの部屋で缶詰め状態だという報道を多く目にしました。
私自身も東京にいた頃は、休みは必ずといっていいほど出かけていたので、都会の生活で外に出られないというのが、どれほどのストレスかよくわかりました。
私は遠くに行くのが大好きです。自分が知らない世界を見に地球の裏側にでも喜んで飛んでいきました。しかし海外どころか県外にも思うように出られなくなり、身近な環境であの感動を見出さなければいけなくなりました。
そんなときに育てる会に転職し、島根県大田市三瓶に移りました。
島根はともすれば「なにもない」と思われる地域ですが、ミクロの視点を獲得すると、毎日毎日面白い発見があります。田んぼで咲くレンゲソウや道端の木を覆う葛の葉ですら、素晴らしいエンターテイナーです。
都市部の生活では、メディアやSNSを通して入ってくる情報、そしてそれにつられるように私たちの考え方もマクロ的になりがちです。
私が東京で暮らしていた頃は自分の仕事も見聞きすることも、遠いどこかで起きていることのように感じ、自分の毎日に「暮らし」という実態が伴わない感覚がありました。
遠い国の状況に思いをはせることも、もちろん大切で必要ですが毎日通る道に生えているオオバコに活用方法があることを知ると、少しずつ生活に彩が出てくるかもしれません。
子どもたちは山村留学で身近な実体験を積み重ねていくことでイキイキとし、また実際に手が届く体験をすることで主体的に考え行動する力も自然と身につけていっているように感じます。