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「共有すること」
くらぶち英語村
山村留学指導員 江田静香
英語村は今年で四年目を迎えた。試行錯誤を重ねながら、ようやく『くらぶち英語村』というカタチになってきたように思う。
ここは全寮制ということもあり、指導員の働き方は人によってさまざまだ。今年度から、平日の生活をサポートする担当と週末の活動を先導する担当に分けることになった。同じ曜日、時間帯に同じ指導員がいることで、日々変化する子ども達の様子をタイムリーで追うことができる。彼らの心の安定と、週末活動の質を向上させることを目的としている。
私は、平日担当になった。最近は畑と田んぼの作業が始まり、子ども達は帰村後、急いで畑に水やりに行く。ある日、一人の女の子が「見て」と私を呼び、マルチ(農作物の被覆材)の上に残っていた大きな水滴の塊を指した。「アリって水滴の上を歩くんだよ」と教えてくれたのだ。植物の観察だけではない広い視野と、その発見を共有してくれたことに感心した。彼女のおかげで、私は今まで一度もアンテナを張ったことがないところへ興味をそそられた。
集団生活の中で?共有する?場面は沢山ある。一つ屋根の下で、子ども同士が情報や発見、楽しいこと、辛いことなどの気持ちの部分で分かち合うことも山村留学の醍醐味(だいごみ)だと思う。特に英語村は異文化交流ができる場であり、言語でのコミュニケーションがより大事になってくる。それぞれの文化、意見を共有することで、お互いの世界が広がっていくのを感じる。
それはまた、指導員にも同じことが言える。二十二人の子ども達の気づきを日々共有してもらうことで、私の世界もぐんと広がってゆく。その感覚が大好きだ。
指導員である私は、子どもが自分で自分の可能性を育てるためにサポートをする立場であるが、逆に彼らから教わることも多い。子どもを通して自分を育てることをさせてもらっていると思う。
この一年で子ども達がどのような気づきを得て、咀嚼(そしゃく)し、自分の学びにしていくのか。それを共有してくれるのが楽しみだ。