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新たな地に触れて

山村留学指導員 松浦実穂

 南砺利賀みらい留学の指導員として、四月から利賀地域に住まうことになった。新たに訪れたこの地を知るためにも、休日はできるだけ地域の中を歩いてみる。

 湧き水の染み出す場所を知り、カモシカと出会う。イワウチワやカタクリの群生。地域の飲食店では、おまけの天ぷらと世間話。道中すれ違うと、車を停めて「山村留学の......?」と声をかけてくださる方もいる。暖かな日差しの中、また、降り続く雨の中、巡ってみるこの新しい地は、わくわくと優しさに満ちてなんとも魅力的だ。
 学校に通い、ホームステイに入っている子どもたちのほうが、地域について早々と学び取る部分も多い。「あの橋を渡ると泥遊びができる場所だよ」「○○さんの家は近くにあるから一緒に遊べる!」「民謡を教わったんだけど、ここが難しいんだ......」と、いろんな情報をぐんぐんと吸収してきては、口々に教えてくれる。
 感染症対策に何よりも気を遣わなければならない昨今。海外留学するつもりが旅立てない、新天地の大学でひたすらにリモート講義、こんな話をいくつも聞く。そんな中、新たな地に居場所をもらい、その地の魅力に触れられるということは、山村留学に来た子どもたちにとって、そして携わる私たちにとって、なんと幸せなことだろう。
 山村留学の中には、触れ合うことから始まるものが多くある。山村の自然に触れ、文化に触れ、地域の人の温かさや知恵に触れる。山菜のことを教えてくださったり、民謡の練習を見せてくださったり、子どもたち同士の交流の場を大切にしてくださったり。始まったばかりの山村留学に関心と助言を寄せてくださる地域の方には、本当に頭が下がる。
 慣れ親しんだ地を離れる寂しさも、新たな環境に踏み出す緊張感も、知らなかった地を知り、知らなかった人を知る嬉しさも。一年目の今だからこそ、子ども達と全てを共にできるのが、今の私の喜びだ。たくさんの支えに深い感謝を忘れずに、ここでの日々を積み重ねていこうと思う。















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