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思いやりと、おせっかいと
山村留学売木学園
山村留学指導員 高木陽光
今年の学園生が入園してから、もうすぐ二か月。山留生活にも慣れがでてきて、余裕も見られるようになった。だんだんと周りを見られるようになってきたことで、人を助けたり、カバーしたりする動きも出来るようになってきたと感じる。他人を思って行動することは、シンプルだが簡単に出来ることではない。学園生は、普段の生活から様々なヒントを拾い、これを体得していく。とても貴重な経験だ。
ふとした時に、学園生から「思いやりと、おせっかいって何が違うの?」と聞かれた。その時は「人のためを思うことが思いやりで、それを形にした時に、行き過ぎてしまうとおせっかいになるのかな」と、自分なりの解釈で曖昧な答えをしたのだが、考えていくうちにとても深い質問だなと考えるようになった。
人の事を手伝ったり、助けたりすることは大切なことだ。山留生活には、自分の身の回りのことは自分でやる、という原則がある。もし仮に他人に手伝ってもらうことがあれば、そこから効率の良い方法やコツなどを学び、自分ひとりで完結できるように活かしていくことが不可欠だ。となると、人の事を思いやり、手伝いや手助けすることは大事だが、何でもかんでも手伝いをした方が良い、ということにはならないのではないかとも考えられる。
この言葉遊びにも見える、このことを一週間ほど考えてから、質問をした学園生に「この間の話だけど、色んな考えが出来るから、思いやりと、おせっかいの境目はハッキリとは言い切れないかなぁ」と伝えると、キョトンとした目で「なんの話だっけ?」と一蹴。
子どもにとっては普段の生活から生まれた他愛のない疑問でも、自分にとっては考えさせられる内容だった事が印象的だった。
この先、子どもからの疑問に果たして応えられるかどうかは不安だが同時に、どんな疑問が生まれるのか楽しみで仕方がない。