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指導者だより

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グミの実

山村留学指導員 吉澤かおり

 センター周辺の山々は、淡い緑色から濃い緑色へと変わっていく季節となってきた。この時期、どんどん変わっていく景色に元気をもらう気がする。
 先日、子どもがグミの実を見つけてきたのを他の職員から見せてもらった。グミの実を見て、懐かしく子どもの頃の記憶がよみがえってきた。この時期になると通学路にグミの実がなって、友達とよくとって食べた思い出や、それを大事に箱の中にしまって秘密基地に置いておいたら蟻に食べられていたことなど。遠い記憶に味の記憶もよみがえってきた。

 私の子どものころはそんなにおやつも食べたい放題ではなかった。だから、こういう木の実が嬉しかった。私が育った場所はこの八坂よりも標高が高い所で高冷地である。果物の木もほとんどなく、田舎だが柿の木もなかった。
 果物は買って食べるもので、そんなにすぐには食べられなかった。だからこんな小さなグミみたいな木の実が嬉しかった。
 何でも自分で手に入れられる大人になると、そんなに魅力的なものではないが、その子どもが持ってきたグミの実を見てなつかしさが込み上げてきた。
 学園生も自然界の食べられるものが大好きで、何でも「これ食べられる?」と聞いてくる。
 今、不自由なことはほとんどない時代に、学園生は好きな時に好きなものをいくらでも食べられる環境ではないここにやってきた。とても貴重な体験をしているのだろうと思う。
 簡単に手に入る美味しいものだけではなく、いっぱい五感を働かせて食べる美味しいものをたくさん見つけてたくさん食べてほしい。
 もうすぐ、キイチゴの季節にもなる。いっぱい見つけていっぱい食べて、そして、いつか大人になったらそんな甘酸っぱい味を思い出して欲しい。















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