「全員でゴールすること」
くらぶち英語村
山村留学指導員 今野公彦
群馬の空っ風に乗って桜の花吹雪が舞う四月。今年の春は暖かく桜の開花が早い。今年度はどんな一年になるだろう、と胸が弾む。
英語村が始まって四年目、子ども、スタッフ、地域の方々と試行錯誤をしながら一歩一歩前に進んできた。昨年度はその中でも一つ大きな収穫があったと感じている。
それはスタッフと子どもたちが四月のスタートから三月のクロージングセレモニーまで、同じメンバーで一年間を過ごせたことである。三月のクロージングセレモニーでは、子どもたち、保護者、スタッフが大粒の涙を流し、心に染み渡る一年の締めくくりとなった。その感動は、全く先の見えない世の情勢に左右されながらも、皆がひとつになって一年間をやり遂げたからだと感じた。
そして、もう一つ、英語村では子どもも大人も様々な育ちや考えを持っていて、それぞれのタイミングで新しい道を選ぶことが珍しくない。
実際に私も転職をして三年前に英語村にきた。そんな世の流れの中、一年という歳月を同じ仲間と過ごせたことは、英語村の山村留学にとって大きな一歩だった。
その過程は登山と相通じるものがあると思う。山で仲間が困った時、その人を一人で置いていくことはしない。荷物を分け、負担を軽くし、優しく、時には厳しく鼓舞(こぶ)をする。登頂するか、下山するか、最後まで運命を共にする。その瞬間の積み重ねが深い絆となり、その集団特有の「和」が生まれる。
言葉がなくても通じ合う阿吽(あうん)の呼吸、昨年度の最後に感じたその感覚をもう一度味わいたい。
「全員でスタートを切って、全員でゴールをしよう。お互いを支え合って、この仲間で過ごす毎日を大切にしよう」。昨年度から継続した中学生の力強い言葉。
今年一年も全員でゴールしたい。