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三十九期スタート
山村留学売木学園
山村留学指導員 戸田佐和子
四月五日、三十九期生十二名の山村留学生活は順調にスタート。全国的に早かった桜の開花、売木学園生たちは、他の花々も一斉に咲いたまさに春爛漫の通学路を歩き、初めての週末には、桜が見頃な中、歩いて村めぐりができた。学園生等の来村を歓迎してくれているかの様に感じた。
また、継続生が早くから、山菜を目ざとく見つけ、採ってきたので食卓に上った。四月中旬に気温が下がり、採り時は、結果的に平年並みとなったが、興味ある自然の事象をそれとなく新入園生に教える継続生の姿は頼もしい。
四月下旬の休日の朝、学園の玄関で鳥が絶命していた。数分後に、子どもたちが「朝のつどい」のため外に出てくる。逡巡した後、拾い上げてみると、流血したキジバト。玄関の大きな強化ガラスに衝突し、首の骨が折れてしまったものと思われた。
とりあえず玄関ポーチを片づけたが、飛び散った羽が衝撃の大きさを物語っていた。よく見るとガラスにも、細かい羽と激しくぶつかった跡! 鳥の衝突死は少なくないのが現実だ。敢えてそのままにしておき、子どもたちの気づきを待つことにした。
一日経っても誰からも声があがらなかったので、翌朝の「朝のつどい」で話した。ガラスに付着した跡を見せ、前日の朝の光景を伝えると、子どもたちの表情が一変。各々何が起きたのかを考えていた。安置しておいた鳥の亡骸を見せると、息をのんだり、空気が変わったり。受け止め方は様々だ。鳥が衝突死をしたことを伝えた。
ただ、この鳥はキジバト、という説明をせずに、各自しっかり特徴を観察して何という鳥か調べてごらん と、投げかけをした。
皆が観察しおえたら埋めるね、と言って「朝のつどい」を閉じたら、「スケッチしたいから、まだ埋めないで」と囁く子が......。
子どもたちが示す興味関心の芽を摘み取らないようにしようと思った。