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「四季の移ろいとともに」

山村留学指導員 赤坂隆宏

 ここ八坂で長期山村留学が始まって46回目の春を迎えた。八坂46期・美麻30期となる今期は、31名の学園生が集った。

 今期は、継続生が22名と、留学生活の継続を希望する子が多くいる。長い子は5年目を迎えるが、自然界の四季の移ろいは決して毎年同じという事はない。継続生からは、「今年は通学路の山菜の出が早いよ」「田んぼの横の桜がもう咲きそう」「もうツバメが来た!」「3年前は5月連休中の味噌仕込みで桜が舞っていたけど、今年は農家対面式に舞ったね」と、春の足音の速さを体感して表現する声が多く聞こえてくる。
 そんな声を聞くたびに、四季の移り変わりがしっかりと五感を通して子どもたちの体内に刻まれていることを知り、嬉しくなる。
 子どもたちには、この四季の変化がはっきりと感じられる場所で過ごすからこそ、「暦」を肌で感じて欲しいと、センター内に「二十四節季・七十二候」の表を貼り出し、変化が訪れた際には声を掛けるようにしている。近年は、継続生から先回りして、「今日から○○だね!」と声を掛けられ、ハッと気が付くこともあるほど。
 今年度が始まり、4月中旬を過ぎた頃。子どもたちと何気なく暦表を眺めていると、「あ、確かにこの時期ツバメ飛んでた!」「雷も鳴ったし、虹も出てたよ!」と、身近に起きた自然の変化や観察した記憶が七十二候とほぼ重なっていることに気が付いて感動の声が上がった。「5月に入るともう夏なんだね」「田んぼに水が入って、カエルが鳴き始めるね。ここに来た頃はカエルの声がうるさくて眠れなかったよ」と。これから「立夏」となり暦の上では夏を迎え、これまで記憶の中に刻まれた自然の風景を語り出す姿があった。
 コロナ禍であっても、「四季の移り変わりに歩調を合わせる」ことができるこの環境は、何物にも代えがたい宝物だ。















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