トップ > 指導者だより > 個人体験

指導者だより

« 二〇二〇年 | メイン | 『大岡大好きっ子』 »

個人体験

山村留学指導員 稲井祐介


 週末に行う学園全体での活動とは別に、学園生一人ひとりが自分の興味関心に基づき、継続的に取り組む活動を、個人体験活動と呼んでいます。育てる会の山村留学の中核を成すと言っても過言ではないこの個人体験活動、十一月に行う収穫祭では、個人体験発表として、どんなことをしてきたのか、体験よってどんな学びを得たのか等、大勢の観客の前で発表する機会があります。

 「発表」というと、これがゴールのように思うかもしれませんが、そういうわけではありません。もちろん人前で発表するわけですから、子どもたちも収穫祭を目途に活動に取り組み、仕上げていきます。中には、なかなか自分のやりたいことが見つからず、何とか絞り出したテーマに作業的に取り組む子もいます。その多くの子は収穫祭の達成感とともに個人体験を終わらせてしまうのですが、あくまで発表の機会があるというだけで、個人体験活動を行う期間に制限はありません。収穫祭までに目標としたところまで体験を進められなかった子はもちろん、まだまだ体験を深めていきたい子は続けて体験することが可能です。
 今年度の収穫祭の翌日、早速、個人体験の続きに取り組む子どもたちが数名いました。個人体験だけでなく、収穫祭のいろんな準備に追われた日々からやっと解放されたにもかかわらず、その翌日から、空き時間を見つけるや否や、外に飛び出していく子どもの姿を見て、「本当に自分のやりたいことに出会えたんだなぁ」と、私も嬉しくなりました。
 個人体験は、決して指導員主導のものではありません。子どもたち一人ひとりが、自分の興味関心に気づき、それに基づいた体験を自分の力で進めていくのです。
 そのために、子どもたちに様々な体験の動機付けをしたり、やりたいことに取り組める環境を整えることが、我々指導員の大切な役割だと思います。これからも、子どもたちが本当にやりたいことに出会えるよう、私自身も体験の幅を広げてきたいと思います。















©SODATERUKAI All rights reserved.