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明日への活力
くらぶち英語村
山村留学指導員 石川寿
晩秋はあっという間に日が落ちる。すでに夕焼け空で辺りは暗くなり始めている。子ども達は「今日も行きたい」と指導員に声を掛け、そそくさとランドセルを片付け、英語村周辺の地域へと繰り出して行く。
子ども達の目的はそれぞれ。柿採りに行く子ども達は、毎朝の登校途中、見送りをしてくださる地域の方が「家の柿の実、いつでも自由に採っていいよ」と声をかけてくれたから、と。英語版地域カルタを作りたい子どもたちは、長老を訪ねて昔の地域の様子や子どもの頃良くやった遊び等を教えてもらうのだ、と。また普段、活動などでお世話になっている地域の方へお礼にと今年収穫したお米をもって行った際、そのお家の玄関で目にした釣り竿がきっかけとなり、毛鈎作りを教えていただけることになった。
子ども達の柿採りと毛鈎作りに同行した。柿の木には実を採るための長い竹が掛けられ、子ども達は慣れた手付きで一つまた一つと交代で採っていく。採った柿はその場でガブリ。渋みのあるのは持ち帰って干し柿にした。
毛鈎作りでは、連日のようにお邪魔していてご迷惑にならないかと思いながらも、どうしても自分で作れるようになりたいという熱い思いに押されて同行。道中、「今回はご馳走にならずに終わったら直ぐに帰ろう」と、話をしていたが、気が付くと掘りごたつに足を入れ歓談を楽しんでいる。毛鈎から始まって釣り紀行の話、キノコ採りの話等々、山川で悠々と遊ぶ話につい聞き入ってしまい、目の前にはいつの間にか、ご馳走が並んでいた。
親元を離れ、異なる環境での生活を送る留学生にとって、その地域で暮らす人々と交流をすることは新鮮で刺激的なものであろう。そして、それは、かけがえのない思い出になるだけではなく、明日への活力になるのではないかと思われる。
コロナ禍、子ども達の目の輝きは失わせずにいたい。