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「しあわせだなぁ」
大岡ひじり学園
山村留学指導員 伊藤僚
収穫祭本番を1週間前に控えた頃、子どもたちのモチベーションもいよいよ高まり、「大広間の掃除、声かけてやっちゃった方がいいよね!」「はやく食べ終わって、準備しないと」と、自分から生活の質を一段階も、二段階も上げて動く姿があった。
それまでは「放課後の時間に宿題を終わらせて、センターで時間を作ったら?」と声をかけられても、なかなか取り組めず18時頃にやっと終わっている子が何人もいたり、30分以上かけて食事をしていたり、早く掃除が終わってもおしゃべりをしている、そんな姿も散見された。一方で、気づいて何度も声をかけている子が後で悔し泣きをしている姿もあった。
感動の体験を柱に収穫祭へ向けて「見に来てくれた人に感動してもらうためには、学校・農家・センターでどんな生活をすればよいか」との投げかけを受け、子どもたちは自分たちで考え、様々な準備をして当日を迎えた。収穫祭へ至る道は、決してまっすぐではなかったが、子どもたちは見事にやりきっていた。
翌日は、みんなで収穫祭の振り返りをした。「もっと自分で時間を作って取り組んでいればよかった」「もっと一人ひとりの気持ちを考えて声をかけられたかもしれない」と悔し泣きをする子もいれば、「みんなでここまでできて、しあわせだなぁ」と、ふり返る子もいた。当日の出来というよりも、それまでの準備が出来たかどうか、努力を重ねられたかどうかをふり返っている子が多かったことには驚いた。次の節目、修園に向けて自分で立てた目標に向かって努力を重ねる大切さに気づいたのかなと思う。
収穫祭に向かう日々のなかで、「いま、すごく大変で忙しいんだけど、しあわせだなぁって思うの!」と話していた子がいた。その姿は「目標に向かって、嬉々として取り組む」山村留学のめざしている子どもの像と重なるものだった。
そんな子どもたちの頑張りを、今年も多く人に見ていただけて嬉しく思う。