トップ > 指導者だより > 田舎の良さ

指導者だより

« 「劇"埋没"」 | メイン | 地域の人の温かさ »

田舎の良さ

山村留学指導員 稲井祐介

 学園生が農家生活中のある週末のこと。私は家族と一緒に車で出かけ、家に帰る途中でした。
 受け入れ農家さん宅の近くを通り過ぎた時に、何気なく窓の外を見ると煙が上がっており、付近に3人の子どもの姿が確認できました。私はすぐに、「学園生が農家の草焼きを手伝っている」のだと分かり、改めて都会ではできないような体験をさせてもらっていることに嬉しくなりました。

 そして、帰宅する直前、また違う受け入れ農家さん宅(自宅の2軒隣)の前を通り過ぎた時には、10人以上の子どもたちが集まって遊んでいました。車を自宅に停め、3歳の娘を連れて様子を見に行ってみると、地元の子が5人と学園生が7人、4歳から中3という幅広い年齢の子どもたちが、額に汗を滲ませながら鬼ごっこを楽しんでいました。
 他の農家さん宅から遊びに来ていた学園生に、「農家での手伝いはないの?」と尋ねてみると、「手伝いは午前中にしてきたよ! あ、午後も少しやってから来たよ」とのことでした。
 全校児童生徒が30名の極小規模校の子どもたちだからこそ、異年齢の集団でも、お互いに力量を理解しながら、けんかもなく、それでいて、みんなが退屈することもなく遊べているのだろうなぁと、とても微笑ましく、しばらく子どもたちの姿を眺めていました。
 その後、私は用事があったので娘を連れて帰ろうとしましたが、娘が「まだここにいる。お兄ちゃんお姉ちゃんと遊ぶ」と言い出したので、これは良い機会だと思い、中3の学園生に娘を託し、先に帰ることにしました。中学生にしてみれば、3歳の娘はお荷物だったとは思いますが、後で聞いてみると、農家さん宅で4歳の地元の子と仲良く遊んでいたのだとか。
 何か、特別な体験をしているわけではありませんが、このような日常が溢れている田舎は、子どもが育っていくのには、とても良い環境だとつくづく感じた日常の一コマでした。















©SODATERUKAI All rights reserved.